「はぁっ……ふぁ……」
頬を包みこんで唇を重ねる。オズの唇は柔らかくてあたたかい。普段は力強くギルバートを導いてくれる主人なのに、こんなところはまだ年相応だ。
そっとこめかみに手を移動させるとどくんどくんと脈打ってるのが感じられた。そのことがギルバートに安心をもたらす。オズのほうも緊張か興奮か……鼓動が早くなっていることに。
啄ばむのをやめて唇を離すとどちらのものともつかない唾液が糸を引いた。それを指でぬぐってやると、オズはとろんとした表情ながらもにこりと笑う。その様子はかわいらしくも扇情的だ。ギルバートはつい誘われてオズの腰を手でなぞっていた。
女性物の服を着ていてもオズの身体は少年に違いない。腰のラインは丸みを描くことなくすとんと落ちている。それなのにスカートが膨らんでいるのは、ペチコートかなにかを下に着ているからだろうとギルバートは予想した。
下に、と考えたところでギルバートの身体が熱くなる。
スカートの下はどうなっているのだろう。アンダースカートにペチコート、そして脚を覆うのはタイツだろうか、それともソックスだろうか。もしかしたらガーターなどがあるかもしれない。
そして、下着、は。
触れる手つきから、そんなギルバートの思考をオズはしっかりと読み取っていたらしい。くすっと悪戯っ子の表情で笑う。
「気になるんだ?」
「……そりゃあ……」
ギルバートが言葉を濁すと、オズはにやっとしてスカートをゆっくり持ち上げた。膝が見えて、腿が見えてもまだ脚は黒いものに覆われている。そして見えたものに、ギルバートは思わず息を呑んだ。
黒いものは薄手のオーバーニーソックス。ガーターベルトで吊るされていた。
オズの白い脚にレースでできたガーターベルトが巻きつき、ソックスを留めている。そのあまりの生々しさと色っぽさに、ギルバートが唾を飲み込む。
「わかった?でも、この先はまだ秘密」
オズは楽しくてたまらないという表情を浮かべている。でもそれは昼間見せる単なる悪戯っ子の顔ではない。
頬は上気し、瞳は色っぽく潤んでいる。オズのほうも興奮しているのが明らかだ。
そんなオズがふと手を伸ばす。パンツの前に触れられてギルバートは息を呑んだ。そこはオズの痴態を見せられて既に膨らんでいる。
オズの手が刺激するように撫で、軽く揉む。ギルバートの唇から堪え切れない吐息が零れた。
「こんなにしちゃって、ギルも男なんだねぇ。今日はオレがメイドさんなんだから、してあげる」
オズに肩を押されて、ギルバートはどさりとベッドに腰を下ろした。オズのほうはギルバートの脚の間に割り込み床に座り込む。普段とは全く逆の体勢になった。
ギルバートのパンツに手をかけようとし……オズは思い出したようにメイド服のポケットを探った。なんだろう、と思っているうちに出てきたのは、昼間ギルバートが変装に使った黒い眼鏡だった。それを押し付けてくる。
「今夜はギルが『ご主人様』だよ。……『マスター』のほうがいいかな?」
「それは、やめ……」
「あ、そう。じゃあ『マスター』で」
二人の間の特別な呼称である『マスター』と呼ぶと持ちかけられ、ギルバートは即座に拒否の返事をした。しかしそれをおとなしく受け入れるオズではない。
「おいっ、やめろと言っただろう!」
「聞こえなーい。眼鏡ちゃんとかけてくださいね、マスター」
「オズっ……!」
ギルバートの言葉はあっさりと拒絶され、オズの口調が普段とは全く違うものに変わった。やめろと懇願したい気持ちを込めつつ名前を呼ぶ。
それでも指示通りにギルバートが眼鏡をかけると、オズは「それでよし」と言わんばかりに微笑み、ギルバートのパンツのファスナーに手をかけた。慣れた手つきでファスナーを下ろし、パンツと下着の中を探ってギルバート自身を掴む。すっかり反応したものを握られて、ギルバートはひゅっと息を詰めていた。
「マスターの、硬いですね。オレのスカートの中を見て興奮しちゃいました?」
「オズっ、それ、やめろ……ん、くっ!」
『マスター』と敬語をやめろと言った瞬間、ぐっと強く握り込まれた。力が強すぎて痛い。思わず苦しげな息をつくと、オズが低い声で呟いた。
「いい加減空気読めよ。楽しめないだろ」
視線がじとっとしていてギルバートはそれに本能的な恐怖を覚える。ここで従わなければあとでいじめられるのは確実だ。
ギルバートのその目を見てオズはころっと態度を変えた。笑顔で先程強く握り締めたギルバート自身を優しく撫でる。
「ごめんなさい、マスター。痛かったですか?」
「い、いや……少し痛かった、けど」
観念した、とギルバートは胸中で呟いて、ようやくオズの敬語にまともな返事を返した。その答えを聞いてオズが嬉しそうににこっと笑う。
「すみません、次は気持ちよくしますね」
「オズっ……く、」
オズの手がギルバート自身を扱く。時に弱く、時に強く、緩急をつけて。
オズ自身はこういった行為は『ギルが初めて』と言っていたが、そうとは思えないほど巧い、とギルバートはいつも思う。同性ということもあって勝手はわかりやすいのかもしれないが、オズが器用なためだろうか。
自分が知る限り、そして初めて抱き合ったときの反応と感触からオズは本当に初めてだったらしい、とギルバートは考えていた。
でもあまりに上手にされると少し不安になる。オズが他の誰かにこんなことをすることになったら。きっと嫉妬で狂ってしまうだろう。
そんなことを考えても、オズにされている今はそれすらもスパイス。
ギルバートの息が荒くなる。オズに握られているものがとくとくと脈打ち、先端からは先走りが零れだした。つ、とそれをぬぐってオズは指を口に入れた。
自分の蜜を口にされた、とギルバートがぞくりと感じたのと同時に見上げてくる。見せ付けるようにギルバートの蜜を拭った指を舐められて、腰の奥にずきんと重い熱を感じた。
「マスターの、もっとください」
「オズっ、あっ、駄目だっ……」
オズが更に身をかがめた、と認識したときにはギルバートのものはぱくりとくわえられていた。熱い咥内に包まれてギルバートの背中をぞくぞくと快感が駆け上がる。咥内に締め付けられ、舌に舐め上げられ、そしてオズの手に根元と袋を揉まれる。ギルバートは呆気ないほど簡単に追い上げられてしまった。
「オズっ、離せ、もうっ……」
限界が近付いているのを感じ、ギルバートはオズの頭を引き剥がそうとした。このままではオズの口の中に出してしまう。それは駄目だと離させようとしたのだが、手に力が入らない。
ギルバートの思惑とは逆にオズはこのまま出せとでもいうように首を振り、強く先端を吸引してきた。ギルバートがそれに抗えるはずもない。
「ん、くっ……オズっ……!」
どくん、とオズの咥内でギルバート自身が弾けた。一瞬の強い快感がギルバートを蕩かす。
はぁはぁと荒い息をつきながら見下ろすと、オズはギルバートの出した体液を飲み込んでしまったらしい。飲みきれずに口の端から零れた白濁の液体が生々しかった。
「はぁっ……すまない……」
「いいえ。マスターの、おいしかったです」
「オズ……」
オズの頬に手を伸ばした。ふっと笑みの形に唇を上げたオズが愛しくて、ギルバートは誘われるように口づけていた。
普段はあまい味のするオズの咥内は、少し塩辛くて生っぽい味がした。先程ギルバート自身がオズの中に出したもののせいで。普段だったら気分が悪くなりそうなその味も、今は興奮を煽る材料にしかならない。
ギルバートは衝動のままにオズの手を強く引いていた。どさりと重量がマットレスの上に落ちる音がする。
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大変お待たせいたしました。更新再開です。よろしければまたしばしお付き合いくださいませ。
10.05.16.