Dreaming Sunday
*stealthily*
それはオズと一緒に夕食を外で摂った帰り道でのこと。
今夜はクリスマスイブ。街は幸せそうな恋人たちで埋め尽くされ、普段の同じ時間では考えられない程賑わっていた。
オズとギルバートの二人もそんな『恋人たち』の一組。少し奮発したディナーを摂り、二人ですごせるこの夜を喜びあった。おいしい食事でお腹も満たされ、このあとはギルバートのアパートに帰るだけ。
夜の予定はない、することは一つしかなかったから予定は立てなかった。きっとオズも同じなのだろうと、そんなふうに予想して。
今夜はどんなふうに触れてもらえるだろう。ギルバートが密かに期待したのも自然なことのはずだ。
ギルバートを虐めるのが趣味だというオズは、時にはとても非情な要求もする。しかし困らせられながらもそれが心から嫌だということは決してなくて、つまりオズから受けるどんなことも、ギルバートにとっては悦びだったのだ。それがギルバートを「M」とオズに認識させていた所以だが、きっとそれはその通りなので仕方がない。オズの要求一つに、意地悪な仕草一つに燃え上がってしまうほどにはギルバートはオズをよく知っていた。それがオズの愛情表現の一つなのだということも。
結局オズには敵わない。ギルバートの結論はいつも同じだった。
そんな期待を胸に、アパートへ帰るため乗り込んだ電車は今日という日のせいであろう、とても混みあっていた。ギルバートよりもだいぶ身長の低いオズが潰されないようにと抱き寄せたことに、他意などなかった。ただ人混みではぐれては困ると、人波にオズが潰されては困ると思った、それだけだ。
だというのに、しばらく無言でいたオズの手がおかしなところに伸びてきて、ギルバートはぎくりとした。混んでいるせいかと思えたのなんて、ほんの数秒のこと。オズがなんの意図もなくこんなところを触るはずがない。
急激に心臓の鼓動が高まって、同時に恐怖感も込み上げた。こんなところでなんて、オズはなにを考えているのだろう。見つかったらどんなことになるのか。心臓を冷やしながらも、オズの手が這うその動きをありありと感じてしまう。
「オズ…!」
尻を撫でるその手に我慢できなくなり、ギルバートは小声でオズを叱咤した。オズの手はギルバートの背中に回り、その下の尻に触れている。コートの中に潜り込み、撫で回し、軽く揉む。片手では脇腹を探られて、腰にあまい疼きが生まれるのを感じた。
でもこんなところにふさわしい衝動ではない。むしろ、公共の場では禁忌の行動。なのにオズはギルバートを見上げると、にこりと微笑んだ。
(静かに)
唇の動きだけで言い、ギルバートの腰と尻を弄ることを続ける。ギルバートはオズを抱き寄せたその姿勢のまま、冷や汗を浮かべるしかできなかった。
突き放すことなどできるはずがない。やめろと叫ぶこともできるはずがない。
おかしなところに触れてきたからといっても、オズは大切な恋人だ。人前で痴漢扱いなどさせるわけにはいかなかった。
そして思い当たる。これが見知らぬ者同士だったら痴漢という行為に当てはまることを。
その間にもオズの手は下へと潜り、パンツの上からギルバートの秘部へと触れてきた。オズを飲み込み快感を得ることを知っているそこは、既に敏感な器官になってしまっている。そんなところを撫でられパンツの上から押されて、ギルバートはたまらずにオズの髪に顔を擦り付けていた。
本当は肩に顔を埋めてしまいたい、しかしオズの身長はそうするには少し足りなかった。せめて人に見られないように、オズの髪に顔を隠す。オズがくすりと笑ったのが、そこから伝わった。
かっと顔が熱くなる。人前でこんなところに触れられて感じてしまっているなんて。その背徳感はギルバートを更に高ぶらせた。
下肢が熱くなるのを感じる。恐怖感と快感を同時に味わって、どちらが強いのかわからない。
オズの手がパンツを持ち上げ始めたそれに触れたときには思わず声をあげてしまいそうになった。パンツの上からゆるゆると撫でられ、はっきりと刺激する目的で揉まれる。意思に反して身体はどんどん熱をあげていった。
オズの手の感触なんて、もうすっかり覚え込んでしまっている。その手に触れられれば身体を熱くしてしまうのは既に条件反射。ギルバートのものは簡単に興奮し、パンツの中で完全に反応してしまう。
抱き寄せたオズの背中を掴む。ぎゅっと握って髪に顔を押し付けると、オズの手が少し離れた。それに安心したのも束の間、ジィ、と小さな金属音が聞こえてギルバートの心臓が冷たく跳ねた。まさか、まさか、と思っているうちに、想像通りオズの手が中に潜り込んできてギルバートの昂りに触れた。
狭い中で直接触れられて、圧迫されて苦しい。だというのにそのことにすら感じてしまう。放っておけばあられもなく喘いでしまいそうで、ギルバートは必死に奥歯を噛み締めた。
気持ちいい。オズの手がいやらしく育った雄の器官を掴んで弄り回している。もっと強く扱いてほしいのに、こんなところでそんなこと、ねだれるはずもない。
恥ずかしい。そう考えただけで、心臓は冷たいのに身体と心は更に熱くなって。オズの手の中でどくりと脈打った。
もう出そうだ。
オズの手がそれを撫で、揉み、さすり、快感は高まるばかり。限界を感じて困ってしまう。
こんなところで出すわけにはいかない、しかしここを勃てたままでは電車を降りられない。進退極まってオズ、と呟くと、オズがこちらを見上げてきた。
(いいよ)
オズの笑顔は確かにそう言っていて。ほっとするのと同時、オズの手がギルバートの先端を包み込んだ。射精を促すように先端を幾度も刺激されて、ギルバートは身体を震わせてオズの手の中に熱を吐き出す。声を出さないように唇を噛み締めて、ぶるりと身体を震わせた。
ギルバートの熱を受け止めたオズの手が引いていって、くたりと萎えたギルバート自身を元通りパンツに収めるとファスナーをあげる。強く握りしめすぎて強張ってしまった手をようやく離してオズを見ると、手をハンカチで拭っていたオズと目があった。
「まもなく───駅です。お降りになる方はお忘れ物のないように……」
アナウンスに顔が熱くなった。こんなところで一体なにをしたのか。顔を赤くしたのを見たのだろう、オズは妖艶に笑うともう一度ギルバートに抱きついてきた。
「帰ったら最後までしようね」
小さな声で呟かれて、一旦収まったはずの熱が簡単に燃え上がった。
そうだ、こんな悪戯で満足できるはずがない。早くオズにもっとたくさん触れてほしい。たくさんかわいがってもらって、今触れなかった部分にも触れてもらって、オズを全て飲み込みたい。
駅からアパートに帰るまでの道のりは、きっと拷問のような時間だろう。
オズに触れてもらえるそのときを、我慢できないほど強く切望した。
END.
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ごめんなさいorz
クリスマス関係ないよ!これ痴漢プレイの話だよ!って話で本当にごめんなさい…。
数日前に唐突に電車で悪戯しちゃうオズギル妄想が降臨した結果でした。
2010.12.25.