Dreaming Sunday
*プレゼントには赤いリボンをかけて (ギルバート×オズ)*
赤、青、緑、金。
オズの目の前には色とりどりのリボンがぶちまけられていた。
「やっぱり赤かなぁ……クリスマスっぽいし……」
手にとって首をかしげる。首元にあてて鏡を覗き込んだ。
「でもこっちのゴールドも豪華な感じがしていいよね」
次は金のリボンを手に取るとやはり鏡を覗き込む。そしてうーん、と唸った。
こう見えてもクリスマスプレゼントに結ぶリボンを考えているのである。真剣になるのも当然と言えた。その『クリスマスプレゼント』というのがなかなか曲者なのだが。
「ギルのイメージは青だから、『お前の色に染めてみたよ!』なんてのもおいしい気がする……」
青いリボンを手にとって当ててみて、すぐにオズはそれを手放した。やはり映えるのは青より赤なのだ。
ギルバートは青が似合う。髪の色のせいかもしれないし、肌が白いからかもしれない。
青はギルに結べばいいか、とオズは頭の中で決めて、赤いリボンを掴む。もう一度鏡の前で当ててみて頷いた。
「うん、これにしよう」
今年のクリスマスプレゼントはこれで決定だ。
「あの、オズ……これはどういう」
「この状況で意味がわからないなんて、お前それはどうかと思う!」
「いや、そうじゃなくて……、……どうしてそんな格好を」
そしてクリスマス本番。恋人たちの『クリスマス』はクリスマスイブ。オズは意気揚々とギルバートの寝室へと忍びこんでいた。
寝支度をしていたギルバートは突然の侵入者に驚き、更にその侵入者に押し倒されのしかかられるという事態に目を白黒させていた。しかも相手がまとっていたコートを脱ぎ捨てたら、首に赤い大きなリボンと下着を着けただけの格好でいたのだから当然である。客観視するとギルバートのほうが可哀想になってくるくらいだ。
「今日はクリスマスじゃん」
「それは知っている」
ふかふかのベッドに二人でいるというのに、ギルバートときたらそんな空気の読めないことを言う。オズからしたらそれはもどかしいという他なくて。
「もう!鈍いなー!クリスマスにリボンがついてるものがあったらそれはプレゼントだろ!?」
「いや、それはちょっと短絡的すぎ……」
「文句があるの?」
「……ないです」
もごもごと口籠って、結局ギルバートは口をつぐんだ。
そんなギルバートの胸にくっつく。どきどきと早い鼓動が伝わってきた。
なんだ、ギルだってなんにも感じないわけじゃなかったんだ。安心してオズは心臓の上に頬をつける。
「今夜のプレゼントはオレだよ。どうしたい?ギルの好きにしていいんだよ」
「えっ、それは、……その」
どきんとギルバートの心臓が鳴ったのを身体で感じる。その反応に期待を覚えながら、すりすりと頬を擦りつけてみた。
「折角のプレゼントなんだから、受け取ってほしいなぁ。それともなにかな、ほしくない?」
「そんなことはない!」
ぶんぶんと首を振ったギルバートに満足する。ぺろりと小さくくちびるを舐めて、オズはずいっと身を乗り出した。
やわらかそうなギルバートのくちびるが目の前に迫る。とってもおいしそう。誘われるように、自分のくちびるを押し付けて味わっていた。
スイッチさえ入ってしまえばギルバートなんて完全にオズのものになってしまう。お互いのくちびるを味わううちにギルバートは息をあげていって、キスを終えたときにふっと笑ってやれば自分から体勢を入れ替えてきた。オズの肩を押して柔らかなシーツへ沈める。
そのことに満足して、オズは身体の力を抜いた。そして首のリボンを摘まんでみせる。
「どうかな?これ。ギルが喜ぶかと思ってラッピングしてみたんだけど」
性急にオズの胸へ手を滑らせていたギルバートが、そのセリフでオズの目を見た。その眼は既に熱っぽくなっていて、興奮しはじめていることを伝えてくる。
「ああ、やはりオズは赤が似合う」
「だよね。青にしようかとも思ったんだけどやっぱり赤のほうがいいかなって」
「クリスマスだしな」
先程まで躊躇っていたのは誰だっただろうか。別人のように積極的になったギルバートが胸にくちびるをつけてきて、オズは、ん、と息を詰めていた。少しひんやりとしたギルバートの手がオズの薄い胸を撫でていく。
ギルバートの手はいつも気持ちがいい。どんなときに触れられてもわかる。
気持ちいい、安心する、嬉しい。そんな感情をくれるのは全てギルバートの手だということを。
「はぁっ、あ……っ」
胸をふにふにと柔く揉まれて思わず息をつくと、今度はギルバートのほうから口づけてきた。微かに煙草のにおいがするけれど味はしない。もう寝るつもりでいて歯磨きをしたのかな、とぼんやりと思ったけれど、ギルバートの手の動きが大胆になってきてそんな思考はすぐに押し流されてしまった。
「ん、……っふ、む、」
きゅっとギルバートの指が胸の先端を摘まんだ。加減は感じるものの、明らかに反応させる目的で弄られて声が零れてしまう。
重なっているくちびるの間からギルバートが舌を差し込んできた。くちゅりと小さく水音が立つ。
ぬるりとして温かい舌に咥内を侵される。縋るものを求めた手がギルバートのシャツを掴んでいた。
「はっ、あ……んんっ!」
くちびるが離れたかと思うと、ギルバートの手が脚の間に潜り込んでくる。ゆるりと頭をもたげはじめたものを下着越しに撫でられて、思わず嬌声を上げてしまった。
「……?」
普段と違う感触を感じたのか、ギルバートが不審げな表情を浮かべる。ちらりとオズの顔を窺うと、下着に手をかけてきた。ギルバートが感じている違和感のわけは知っている。
「はぁ……っ、こっちもプレゼント、だよ……?」
下着を引き下ろされて露わにされたもの。ギルバートがごくりと唾を飲み込んだ。
ギルバートの視線に晒されている。そのことで快感がぞくりと腰を這いあがって、ギルバートの前に晒しているものがぴくんと反応した。
根元に細い赤いリボンを飾っている、それ。
「……もらってもいいのか?」
「どうぞ?」
くちびるを舐めて舌が覗く様子が色っぽい。ギルバートのそんな些細な仕草にも感じてしまう。
オズからの促しに、ギルバートは身を屈めるとオズの脚の間にうずくまった。くちを開けてそれを食べようとするところが見えてしまう。体温そのままに温かい咥内に包まれて、思わずぶるりと身体が震えた。
「はっ、あ……、んんっ、ギル……!」
反応した自身を口の中に包まれ、吸われる。ギルバートが丁寧にしてくれるのがわかるから、この行為自体がとても心地良いものなのだ。
口の中が熱い。舌に舐められて飴を溶かすようにしゃぶられると、ぞくぞくと腰の奥が痺れて力が抜けてきてしまう。ごくんと音を立ててギルバートが飲みこんだのは、オズの流した先走りだろうか。
単純に自分の唾液を飲み込んだだけかもしれないと思ってみても、ギルバートの口の中に自分の自身があるのは変えようのない事実で。潤んだ目を伏せてうっとりとオズのそれを食べる様子に更に感じてしまうのだ。
「あっ、はぁっ……んぁっああっ」
ギルバートの指が根元に伸びて、袋を掴んだ。やわやわと転がされてそちらからも強い快感が背筋に走った。
ぴちゃ、とギルバートがオズ自身を舐める水音が響く。丁寧に幹を舌で辿って、先端を吸い上げる。小さな穴に舌をねじ込まれると、そんなものは入らないはずなのにもっとねだりたくなってしまって仕方がない。追い上げられるのに時間はかからなかった。
「ギルっ、も……」
絶頂は目の前。与えられるであろう快感を期待してギルバートに告げると、ギルバートはふっと顔を上げた。そしてオズのその訴えを聞くと、おもむろに根元のリボンを引っ張って解く。
なにをするのだろう、と思ったのは数秒のこと。軽く結んであった今までとは逆に、戒めるようにぎちっと根元を縛られてしまって息を呑んだ。
「ちょっと、ギル!嫌だ、取って、……っ!」
「まだ駄目だ。今日は一緒に」
熱っぽい瞳でそんなとんでもないことを告げられて、反論する前にまた息が詰まった。ギルバートの指が最奥へと遠慮もなく突き立てられて。
「やっ、ギル!い、一回いかせ……ひぅっ!」
既にここに突き立てられるものを期待して、後ろは潤み始めていた。そこへギルバートの指が潜って違いなく感じる場所を抉ってくる。
絶頂を目前にしてせき止められた焦燥感に身体がかっと熱くなる。熱を吐きだしたいのに、きつく縛られたせいで勝手に達することもできない。苦しさとそれをも上回る快感に目尻に涙が滲んだ。
「折角のプレゼントだから……オズと一緒がいい……」
「わかった、わかったから!あとでちゃんと一緒に、ふぁっ……!」
普段ならギルバートからこんなことを言われれば嬉しくてたまらないのに、今は状況が状況だ。手を伸ばして解いてしまえと思うのに、手はギルバートのシャツを掴んだまま離せない。苦しすぎて離したらどうにかなってしまいそうなのだ。
内部でギルバートの指が蠢いて狭いところを拡げていく。すっかりギルバートの指、それから彼自身を咥え込むことを覚えてしまったそこにはそう苦痛ではない。むしろもっと早くとでも言いたげにざわめいてギルバートの指をきゅうきゅうと締め付ける。
じゅぶじゅぶと嫌らしい水音が大きくなっていって、はぁ、とギルバートが息をついたことで知った。先に進むつもりなのだ。このまま。
想像してオズは青ざめそうになった。この状態でギルバートのものを受け入れたら、射精感が強まるのは明らか。それは今よりもっと苦しい快楽に違いない。
「ま、待って!ちょっとだけ、」
「待てない。早くオズに入りたい」
カチャカチャとギルバートが衣服をくつろげる音がして、逃げる間もなく脚を掴まれた。もっとも逃げる時間があっても蕩け切った身体でそれはかなわなかったのだが。
脚を拡げられてギルバートのものがそこに押し当てられた。何回も繋がっているのだ、身体は覚え込んだ快感に期待してそれを受け入れようと疼いてしまう。
「や、ちょ、ちょっとっ、あ……っ!!」
ぐちゅりと。水音が響いてギルバートのものが突き立てられた。十分に慣らされたそこは大した痛みもなく、それを嬉しそうに飲みこんでいく。
苦しいのはオズの自身に他ならない。快感を感じれば射精感に繋がるのは男の性。放出できない熱が身体の中で暴れ回った。
「やぁっギル!いかせ、いかせて……!くるし……ひぃっ」
「ああ、オズの中……っ、すごい、すごくきつくて……絡みついてきて……っ」
強すぎる射精感はむしろ苦痛。しかしギルバートはうっとりと快感を目にたたえてオズの中に夢中で腰を振っている。
ギルのくせに!心の中で毒づくものの、言葉にはならなかった。
身体の中をギルバートのものが奥深くまで犯して抉ってくる。気持ちがいいはずなのに、今は解放できない辛さしか感じられない。快感はとっくに通り越してしまった。
「も、や……っ、はぁっ、あぁっ」
「はぁっ……、そろそろ……一緒に」
ギルバートが腰を使いながらようやっとオズの前に手を伸ばした時は、既に息も絶え絶えの状態だった。自身を戒めていたリボンがしゅるりと解かれると同時に、せき止められていた熱が腰の奥で一気に弾ける。それは強すぎる快感となってオズに襲いかかった。
「あ、ひぃっ、あぁぁ……っ!!」
ようやく解放の時を迎えて、びゅるっと自身から勢いよく液体が噴き出す。せき止められていたせいだろうか、噴き出したそれは首元まで飛んできた。
一瞬の強い快感が脳を痺れさせ、とろりと霞がかかりかけたそのときにまた腰の奥で電流が走る。それは内部でギルバートが酷く感じた部分を突いたせいに他ならない。
「……っく、オズ……!」
「うぁっ、ふっ、んくっ……!」
意識する間もなく二度目の高みに押し上げられる。少し少ない量の液体が同じように飛び散った。そしてギルバートが呻くのと同時に奥に熱い液体が注ぎ込まれるのも。
どろりとした液体でお腹の中が重くなるのを感じて、やっとオズは強張っていた身体から力を抜いた。ベッドに横になっていたのは幸いだったに違いない。快感と、そして必要以上に強いられたお預けによって身体はぐったりとベッドに沈んだ。
「はぁ……」
ギルバートといえば、満足げなため息をついている。顔をあげてオズがぐったりしているのに目を止めて、ようやっとやりすぎたことに気がついたらしい。
「あ!あのっ、オズ、大丈夫か、」
「ギルのバカ!なんてことするんだよ!」
それを叫んだだけでも息が切れた。確かにせき止められたぶん、快感は桁違いだった。しかし味わあされた苦しさを忘れたわけではない。
「何回も言ったのに!」
「すまない、あの、夢中で」
「夢中って言えばなんでも許すと思うなよ!」
「……すまない……」
しゅんとうなだれたギルバートを見て、はぁ、とオズは一つため息をついた。
たまに積極的になったかと思えばこうして暴走する。本当に困ったものだ。しかし、このしゅんとした顔がかわいく見えてしまうのだから仕方がない。
「責任、取ってよね」
「……?」
仕方ないな。心の中で呟くと、オズは手を伸ばしてギルバートの頬に触れた。触れられて、ギルバートが顔を上げる。
「今度はちゃんと、苦しくないようにして。できるね?」
「……っ!わかった!気をつけるから!」
こうして許してやれば、それだけでぱぁっと顔を輝かせる。飼い主の言葉一つで尻尾を振る従順な飼い犬のようだ。実際にオズの従者ではあるのだけど。
今度付け耳でも付けさせようか。そんな悪だくみを思いついて、しかしそれは口に出さずににこりと笑ってみせる。
「じゃあ……ギル。続き、しよう?」
ギルバートにしがみつくように抱きついて続きをねだる。
クリスマスの夜は長い。今夜はオズというとっておきのプレゼントを差し出して、一晩中ギルバートを占領するつもりだ。
END.
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第三弾はギルオズでした。今回はギルオズがえろ担当。去年と逆転してみました。
しかしギルオズでもやっぱり主導権はオズですね。今回はギルがなにかスイッチ入っちゃってますが。
3日間クリスマス更新にお付き合い頂いてありがとうございました!
……明日もなにかあるかも?良かったら覗いてみてくださいませ。
2011.12.25.