Dreaming Sunday

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Uniform

「…というわけで!制服を調達してきたぞ!さぁ着るんだ!」
「すごーいオスカーおじさん!どうやって手に入れたかは聞かないよ!」
「はっはっは、そのほうがいいと思うぞ〜?」
ラトヴィッジ校に潜入するべく、オスカーが制服を調達してきた。ギルバートは複雑な思いでその服の山を見つめる。
白い服というだけでも抵抗があるのに、学生服だ。学生という歳を遥かに過ぎた自分も着させられるのだろうか。なんだかすごく恥ずかしいことのような気がする。
しかしオズは嬉しそうにオスカーを褒め称えているし、アリスも見たことのない服に多少なりとも興味を示しているようだ。オズはまさに学生の年頃だし見目もいいからきっと似合うだろう。アリスも然りだ。二人…というかオズ…が喜ぶならいいか、と限りなくオズ本意な結論に至るところだったギルバートの思考をオスカーの次のセリフが中断させた。
「あっ、まずいな、間違えた。男子制服2に女子制服1だったんだよな、逆にしちまったみたいだ」
「え?…あ、ほんとだ、スカートが二つあるね」
制服を広げてみたオズがそんなことを言っている。確かに二つあるのは女子制服のほうだ。
これでは着られないではないか、とギルバートが口を挟もうとしたところでオズがとんでもないことを言い放った。
「しょうがないな〜。じゃ、ギルはこっちのスカートな」
「は…?はぁぁぁ!?」
なんでもないような顔でかわいらしい女子制服を指差すオズ。
ギルバートはつい全力で聞き返してしまった。なにかの聞き間違いではないか。
「ん、だから、ギルがこっちのスカートのほうを…」
「冗談はよせ!なんだってオレが…」
「いや?」
「当たり前だー!!」
悪びれる様子もないオズに全力で怒鳴る。普通に男子制服だって恥ずかしいのに女子制服などとんでもない。それでは女装ではないか。
そしていい大人でかつ身長が180センチを越す自分が女装など公害にしかならない。
そんな気持ちを込めて抗議すると、オズは困ったな、という顔をしてみせる。しかしギルバートにはわかる、これは『困っていると思わせたい』ときの顔だ。
「じゃあオレが着るの?まぁギルが着るよりかはましだと思うけどどうかなぁ…」
「……!?」
ギルバートの脳裏を一瞬にしてオズの女子制服姿がよぎった。
金髪に碧眼の綺麗な顔をしたオズ。女子制服も違和感ないだろう。いや、むしろかなりかわいいに違いない。
本音を言えばすごく見たい。しかしギルバートがそんなことを口に出すことなどできるわけがなかった。
ここで「かわいいと思うぞ。オズが着ろ」とばしっと言える彼であったら周囲にヘタレ扱いなどされていない。
現実のギルバートは「あ、いや、その、似合わなくは…いやしかし…」とおろおろするだけ。端から見ていてかなり情けない姿だった。
「うん、似合うと思うけどさ、いいの?」
「……?」
そんなギルバートを前にして、オズは楽しくて仕方がないという表情を浮かべている。今にも悪魔の角と尻尾が見えそうな笑顔。ギルバートには最早お馴染みのあの笑顔だ。
「オレのことだから女のコの制服でも似合っちゃうじゃん?そんなかっこで学園に潜入したらさぁ、『君かわいいね。見たことのない顔だけど転校生?良かったら色々教えてあげるよ。あっちの部屋で…』…とかなるかもじゃん?そんなことになったら…」
「なっ…なにを言って……そんなことがあるのか!?」
「あるある。学園生活にはつきものだよ〜」
ギルバートは愕然とする。
学園という場所がそんなに危険だなんて思わなかった。確かにそんなところに女の子の制服を着たオズを潜入などさせたら危険じゃないか。
彼はそんなふうに思い込んだ。
そんなギルバートを横目に端ではオズとオスカーがアイコンタクトで会話していた。
(なーんてね。んなわけないじゃん)
(全くギルはお馬鹿さんだなぁ。そんな危険な場所だったらこのオレがエイダを入学させるわけないだろう)
(言えてる〜)
目配せでこれだけの意思を疎通できるオズとオスカーは紛れもなく血縁者であった。
ギルバートはまだぐるぐると考えている。
(オズを危険な目にあわせるわけにはいかない、しかしオレがこれを着るのは…。ああ、しかし…)
「だぁいじょうぶだって!お前はメイド服も似合ったじゃん!制服くらい軽いって!」
「いや、しかしあれはロングスカートで……流石にこんな短いスカートをオレが穿くのは…」
「大丈夫だって!ほら、オーバーニーソックスもあるからさ。これ履けば脚なんて見えないから、なっ」
自分のプライドと愛する主人を天秤にかけて悩むギルバートに、オズが満面の笑みで後押しする。それでもまだ悩むギルバートに、オズから最後のダメ出しが来た。
「全く、ぱぱっと着ちゃえよな〜。しょうがない、オレが着るか。多少危険なのなんて今更だしな」
オズがにっこりと微笑む。その笑顔はギルバートの胸を貫いた。
そうだ、今まで散々危ない目にあってきて…オズに随分辛い思いをさせた。回避できる危険ならば避けたほうがいいに決まっている。主人を守るのが従者の役目ではないか。そう感じたギルバートはつい言っていた。
「ダメだ、オズ!それはオレが着る!お前を危険な目にあわせるくらいなら…!」
「そ?じゃあ着てもらおうかなぁ〜。オレが着せてやるよ!」
いつも通り。それはまさにいつも通りの展開であった。
ギルバートの首を縦に振らせることに関してはオズは天才である。
(ギルはかわいいね〜、こんな簡単に騙されちゃってさ)
(んで?これは冗談で、ちゃんとギルの男子制服もあるっていうのはいつ言うんだい?)
(待って待って、これ一回着せてからね!それまで待ってて!)
嬉々としてギルバートに女子制服を押し付けるオズ。それを端から見守るオスカー。
ギルバートがこの二人にからかわれていたことに気付くには、あと十数分の時間が必要である。


END.


*****
ラトヴィッジ校の制服で妄想編でした。オズは女子制服でも違和感ないと思いますが、ギルの女子制服は…いくらギルがかわいくてもやっぱりちょっと危険かと…(笑)
ラトヴィッジ校の超ミニスカートにオーバーニーソックス(白)姿のギル妄想はセルフサービスでお願いしますv


09.12.09.



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