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小休止

(あっ、はっけーん!)
遠くからでもわかる、長身の体、大きな帽子。それから白くたゆたう煙。大きな木の下、そこで一服しているのはオズの従者に間違いなかった。
「ギル!」
「オズ!?なんでここに…バカウサギと遊んでいたんじゃ…」
木の下に座る彼…ギルバートに後ろからがばっと抱きつくと、ギルバートは慌てた様子で振り返った。珍しく近付くオズにも気付かない程ぼんやりしていたらしい。
「アリスならシャロンちゃんのお茶に連れてかれたよ。『ケーキより肉がいい!』って言ってたけどね」
およそ女の子らしくない発言を思い出してオズはくすくす笑った。まぁ女の子らしくなくても当たり前かもしれない、人の形を取っていても彼女の正体はチェインなのだから。
「だったら一緒に行けば良かったじゃないか。ケーキが食べられたんだろう?」
家事も戦闘もお手のもの、従者としては非の打ち所がないギルバート。しかし唯一の欠点にして他の美点すら打ち消すほどの破壊力を持ったもの。それが彼の代名詞でもある『ヘタレ』であった。
(全く、わかってないよ)
愛煙家のギルバートは煙草が手放せない。なにかにつけては煙草を吸う。そのときはできるかぎりオズから離れていく。煙を吸わせたくない、という彼なりの気遣いなのだろうとオズは推察していた。だけどわかってない、と思うのだ。
「ケーキなんかあとでも食べれるじゃん。ギルがオレにかまってもらえなくて拗ねてるかなーって」
「なっ…お、オレは拗ねてなんか」
「はいはい、誤魔化さなくていいから。オレがアリスと遊んでたから寂しかったんだよな?」
「そ、そんなことはない!」
これみよがしににっこりと笑って頭を撫でてやる。ギルバートの反論を封じるように。するっと腕をほどいて、代わりに隣に座り込んだ。居座る姿勢を見せるとギルバートは戸惑った表情を浮かべる。
「煙、そっちに行くだろう。せめて吸い終わるまで待って…」
「やだ」
「やだ、って…オズ」
「だったらやめればいーのに。オレに気ぃ使うくらいならさ」
「…すまん」
「煙草の一つもやめられないなんて、ほんとにギルはヘタレだねぇ」
たわいもないことを言いながら、オズはくすくす笑う。
本当にギルはわかってない、と思う。オズのことを思って離れて吸うのだろうけれど、それがオズをどんなに寂しくさせているか。それには全く気付かないのだ。かまってほしかったのは、本当は自分のほう。そんなこと言ってやるものか。自分で気付けばいい。

ほっと一息つくあなた。
その隣にいるのがすき。


END.


+++++
おそらく初代の拍手お礼SS?まだオズギルなのかギルオズなのか曖昧な頃のものですね。


09.12.09.


再録:2011.06.19.



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