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純情テロリスト

その日、レベイユでは季節外れの雪が降った。ギルに言わせると、春を連れてくる最後の雪らしい。あまり綺麗にはらはらと積もるものだから、ついその中に身を置きたくなった。
でも十分も雪の中にいればもう満足。あとに残ったのは体に積もった冷たい雪と寒さだった。
「だからやめておけと言っただろう。帰ったらすぐ風呂だ」
煙草を買いに行くギルについていくと言って無理やり外に出たのだ。ギルはオレが雪の中に飛び出すとは思っていなかったようで、必死にとめようとしていたけれど。でももう十分。
ギルがさす黒い大きな傘に逃げ込むと、ギルはようやく安心した表情になった。
「うー、寒いっ。やっぱりオレももう若くないのかな。25歳だもんなぁ」
「なにをバカなことを……体はまだ15のくせに」
「あーっ、また子供扱いする!背が伸びるのなんてすぐだ、すぐ!そうしたらギルなんて見下ろしてやる!」
「そうなるといいな」
いつもと変わらないやりとり。言葉を交わしながらギルは空いた片手でオレの肩を抱き寄せた。その仕草があまりに自然だったものだから、一瞬戸惑った。
時々こういうことをするのだ、ギルは。普段は恥ずかしがり屋のくせに、恥ずかしがるポイントがどこかずれている。
「……?どうかしたのか?」
「なんでもないっ、それよりギル」
今回も例によって、本人は平然としている。
おもしろくない。オレばっかりギルにドキドキさせられるなんて許せない。
よってギルをちょいちょいと招いた。
「さっきさ、ぶつけたのかも。ここ」
「なにっ!?見せてみ……!?」
自分の頬を指差すと、ギルはおもしろいほど簡単につられてオレに顔を近付けてきた。その隙をついて、唇を奪う。
一瞬だけ触れた唇に、ばさっと傘が落ちた。今度こそオレの思惑通りにギルは真っ赤になってあとずさる。
そうそうこうでなくては。これでこそオレのギルだ。
「なっ……なななっ、なにを……」
「おかえし」
さらっと答えると、ギルはなんのことだかわからないという顔をする。
全くこいつは罪作りだ。他の女の子にこんなことをしたらただじゃおかない。
「あーあ、傘落としちゃって。こりゃあ帰ったら一緒にお風呂だな」
「一緒に……!?それは無理だっ、狭いし、それに」
「嫌だって言うの?」
ギルに更に追い討ちをかけて反応を楽しむ。
一緒にお風呂だと言うとギルはさらにうろたえる。その様子を見ているのが楽しくてたまらない。
時々意表を突かれるけれど、やっぱりこうでなくっちゃね。
ギルがたまに見せるかっこいい顔も本当は好きだけど、こんな顔がやっぱり一番好き。


END.


*****
季節はずれもいいところで申し訳ありませんが、最後の冬話です。ギルは絶対恥ずかしがるポイントがずれている!という主張と、ナチュラルに恥ずかしいことをするギルが書きたかったのです。

タイトルは、ちょうど現在『純情ロマンチカ』を読んでいるので…。テロリストはギルギルです。


10.04.14.




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