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※直接的表現はありませんが、下ネタが含まれます。
苦手な方はご注意ください。











新しい知識を得るということ。それはより高度にあいつをからかえるということ。
こんな噂を聞いてしまったらもう、試すしかないだろう。


煙草、メンソール、その副作用




「ギール!」
「……なんだ」
にっこりと微笑んでソファに腰掛けるギルの後ろに回り込む。ギルは今ソファで一服中だ。
知ってるよ。今ギルが吸ってる煙草はメンソールだよね。すーすーするやつ。なんでそんなのを試しているかは知らないけれど、ギルのこの煙草にさっき仕入れた噂を足せば、とってもおもしろいことになる。
振り向いたギルの眼には、ちょっと警戒の色が浮かんでいた。オレがいじめに来たのはわかるのに、毎度毎度おもしろいまでに単純に反応するのだ。そんなところがかわいくて、ついいじめてしまうのだけど。
「それ、おいしい?」
「……ああ。でもオズは駄目だぞ。あとでアップルパイを焼いてやるから…」
またオレが「一本もらおうかな」と言うのを危惧したのか、ギルは先手を打ってきた。しかし今日は違う持ちネタがある。
「オレは吸わないよ?そんなの吸ったらギルのことかわいがれなくなっちゃうもん」
「……?」
『かわいがる』という言葉に単純に羞恥を覚えたのだろう、ギルの頬がわずかに赤く染まった。10年経っていようがなにも変わらない。単純で純粋で一途で……オレのかわいいギル。
「メンソールの煙草ってさ……知ってる?」
「……なにを?」
着実にオレの罠にはまっていくギルの首にするり、と腕を回した。後ろから抱きしめる。昔はオレより小さくて体なんかふにゃふにゃしていたのに、今感じるのはしっかりとした骨格。別にすぐ追い越すからいい、と思いつつも、それを悔しく思うのは確か。言ってなんてやらないけど。
ギルの指に挟まれている煙草は灰になった部分がだいぶ増えていた。煙草を吸うのも忘れるくらい緊張しているらしい。
オレになんていじめられるかが怖いかな?それともくっついてるから恥ずかしい?
どっちにしろかわいい奴だ。
「吸うとさ、不能になるんだって」
「……っげほ、ごほっ……」
あーあ、煙草吸ってないのにむせてる。そんなに驚いてもらえればからかった甲斐があるというものだよ。耳元で囁いた言葉にギルは顔を真っ赤にして咳き込んでいる。
「やだなぁ、そんなに驚かなくても」
「お前はっ……!意味がわかっているのか!?」
真っ赤になった顔で睨み付けてくる。そんなふうにされても更にいじめたくなるだけだって、いい加減学習すればいいのに。基本的に頭がいいのにそういう要領は悪いのだ。
「わかってるよ?つまりー、それを吸うとギルのそこが」
「わー!!!わかった、わかったから!言うな!」
笑顔を作らなくても顔が笑ってきてしまう。これだからギルをいじめるのはやめられない。24にもなってそんなことくらいで恥ずかしがらなくても、とすら思う。そんな反応はとってもギルらしいけれど。
「不能になっちゃったら困るよねぇ。どうする?それでも吸う?」
「そんな……っ」
ギルの手の煙草は半分も灰になっていた。それなのに『煙草を吸う』動作すらできなくなっているギルからそれを取り上げて、灰皿に押し付けた。灰が落ちたら掃除が大変……って、これはギルがいつも言ってることだっけ。
「それは……ただの迷信だろう……!」
お、ようやく反撃してきた。これがなくてはおもしろくない。
「わかんないよ〜?じゃ、試してみる?メンソールの煙草を吸って……ギルが不能になったかどうか。オレが確認してあげよっか」
「オズ……!」
ギルの必死の抵抗もあっさりと押さえ込むように笑ってみせた。多分昔のギルなら「坊っちゃん許してください」とめそめそしだす頃だ。泣きはしないものの、今のギルもそのときと同じ顔をしている。
この表情を見ると背中がぞくぞくすると同時に深い満足を感じられる。ギルをここまで困らせられるのも、そしてそこまでしていいのもオレだけだ。
「……冗談。今日は許してやる」
今日はこのへんにしておこう。あまりいじめてばかりも可哀想だから。いじめたあとにはちゃんと飴をあげないとね。
オレがそう言うと、ギルはあからさまにほっとしたように息をついた。その頭を撫でてやる。
「だから。煙草は控えろよ、な?」
「……わかった」
安堵の表情を浮かべるギルを見ていると、またオレの中で悪戯心がむくむく持ち上がってきた。飴をあげたんだからもうちょっといじめてもいい、よな?
「でもギルが不能になっても心配しなくていいよ。そのときはオレがギルを抱いてあげる」
「……っ、オズ……!!」
ギルの安心した表情が一瞬白くなり、そのあと即座に赤くなった。なにを想像したんだか。
それがあまりにかわいくて、抱きしめたギルの頬にキスをした。するとギルはますます顔を赤くする。いじめても優しくしてあげても赤くなるんだね。つまりどっちも好き、ってことでいいかな?
「かわいいね、ギル。大好きだよ」
「……お前のほうが、よっぽど……」
あーあ、そこはストレートに「オレも好きだ」って言って欲しいのに。スムーズにそう言ってくれたことなど一度もない。
でもギルらしいか、とも思う。大いにためらってどもって……その末にようやく聞けるのがギルらしい。
「オレのほうが……なに?」
「よっぽど……かわいい……」
ためらっても言い淀んでも、最後には言ってくれるから許してあげる。
でもオレからしたら、お前のほうがよっぽどかわいいよ。


END.


*****
お粗末さまでした!下ネタでごめんなさい…。
チョコレート煙草の話を書いて友人(※おたく友)に「書いてみたよー」と個人的に押し付けたところ、「チョコレート味の煙草より、『メンソール煙草吸ったら不能』ネタのほうがおいしい」と素晴らしいアドバイスをいただけたので、「それだー!」とばかりにトライ。あ、でも迷信らしいですよ!信じてはいけません。
ちなみにこの作品も個人的に押し付けたところ、「これは完全にオズギル」との判定をいただきました。なるほど…確かにオズギルかもしれない…。でも本人は完全にギルオズのつもりで書いていました。やっぱり受け攻めが曖昧です。


10.01.16.




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