Dreaming Sunday

  1. Home
  2. Gift
  3. Kissの理由

Kissの理由

つまらない、つまらない、つまらない。
・・・本当はわき上がるこの感情の正しい名前も、この感情そのものがつまらないものであることも、知っている。
俺の横には、ラフなシャツ姿のギルバート。
目の前のテーブルには、紅茶とギルお手製のケーキ。
ギルの自宅であるアパート、リビングに置かれた日当たりのよいソファー。
そこに二人並んで座って、昼食をすっぽかして何故か午後のお茶を楽しんでいる、わけなんだけど。

「・・・ったくブレイクのやつ!なんなんだ、あいつはいっつもいっつも・・・」

パンドラにちょっと顔を出してくる、とギルが出かけたのは、陽も昇り始めた午前の話。
昼過ぎにようやく戻ってきたと思ったらキッチンに直行、オズは昼食をどうするのか声を掛けようと思ったのだけれど、当の従者は何やらすごい形相でボウルにケーキの材料を投入していたので、やめた。
そのまま忙しく動き回る背中を眺めている間にケーキが焼き上がって、今に至る。
生クリームが添えられて出てきた、俺の大好きな、甘くて少し酸っぱい、色鮮やかなフルーツいっぱいのケーキ。
だからそれについては、何も文句を言うつもりはないんだけど、さ。
抱えていた紅茶のカップをテーブルに置く。
テーブルの上にケーキの載った皿はひとつ。
ギルの前には、珈琲のカップと灰皿だけ。

「・・・あのバカブレイクっ」

パンドラで、ブレイクと何かあったのだろう、帰ってきて即座に菓子を作るくらいフラストレーションの溜まる、何かが。
苛々と不機嫌そうに、ギルの口唇が何度もその名を呟く。
その癖、ブレイクと本気で喧嘩したり憎みあったりできないことを、俺は知ってる。
ケーキが半分、きちんと台所に残されていることも。
・・・やっぱり、つまらない。
そう思っていたら、シュッ、と軽い音がした。鼻につく、マッチ特有の香り。
隣に座るギルが、火を点けた煙草を深く吸い込む。
はぁぁぁ〜っとうなだれる様に大きく息を吐いてから、俺の視線にようやく気が付いた。

「あっ、すまない・・・っ」

慌てて火をつけたばかりの煙草を灰皿に押し付けると、俺の方に流れてくる煙を手で払う。
それからまだしょんぼりしたままの表情で、灰皿を手に立ち上がろうと腰を浮かせた。
たぶん、距離をとって、キッチン辺りで吸うつもりなんだろう。
その腕を、掴む。
こちらを振り返る、その隙に、もう片方の手で灰皿を奪う。

「ギールぅー」

腕を引かれ、素直に腰を下ろした所を、えいっと押し倒す。
近づく俺が何をしようとしているのか、鈍いなりに察したらしいギルバートが、顔を赤らめながら慌てて言う。

「オズ、待て、まだ煙草の・・・んンっ」



【 Kissの理由 】-Side:O-


煙草と珈琲の混ざった味。
決して甘くはないけれど、それでもこの口が、俺以外の名前を紡ぐ事に比べたら、よっぽどいい。
そう思って、深く深く、舌を絡めた。




  ※   ※   ※




複雑な立場の義兄の、複雑な心中などは一切お構いないらしい。
主人であるオズは、ただ純粋に、エリオットとの再会を喜んでいた。
オスカー様の提案により、昼間に突然催された、パンドラでのお茶会。
あれから数時間。
部屋に戻り、夜になってデザートを食べ終えても、オズはまだ上機嫌でエリオットの名を何度も口に昇らせている。
キッチンでココアを練りながら、ギルバートはひたすら聞き役に徹していた。

・・・確かに。
オズには同年代の友人が、非常に少ない。というか、いないと言っても差し支えないくらいだ。
元々父親によって、屋敷から出ることを許されていなかった上、アヴィスへと堕ちた事により、10年の隔たりが生じてしまった。
ただでさえ四大公爵家の跡継ぎで、今や英雄の生まれ変わりと噂されるオズ。
そんな中にあって、あの義弟の真っ直ぐな態度は、オズにとっては眩しいものなのだろう。
対等に付き合える数少ない大切な親友だって事は、よく分かっている。
ギルバート自身、ナイトレイの屋敷で、あの小さな義弟の真っ直ぐさに何度も気持ちを救われている。

・・・だけど。
義弟に嫉妬するなんて、馬鹿すぎると分かってはいる、けれど。
あの時のオズの気分もきっとこんな感じだったんだろうな、と思いながら、ココアの入った熱いカップをオズへと差し出す。

「オズ、気をつけて持てよ」
「ん、わかっ・・・・ンッ」

注意深く受け取るその一瞬を衝いて、キス。
最初は軽く、やがて深く。


【 Kissの理由 】-Side:G-


オズの手の中で揺れるココアを零さないよう、注意深く肩を抱く。
この口唇が離れた時、オズが自分以外の名を呼ばぬよう、今はただ、呼吸を含めた全てを奪う事に、決めた。


*****
『LOOP』のみや様からいただきました!ギルオズです!
ブレエリ←リーオのお礼に、といただいてしまったのですが、い、いいんですかこんな立派なものいただいてしまって!海老で鯛を釣ってしまった気が…ぶるぶる。

お互いにやきもちやく二人が可愛いですね!やきもちやくくせに、本人はきっと無自覚にブレイクやらエリーやらの話をしているのでしょう。結局オズとギルはある意味似てるんですよね!
ひそかにギルサイドのほうのギルが、ちゃんと攻めなことに感動し、そして萌えました…ギルのくせにかっこいいよ!うちのギルはたとえギルオズの場合でもへたれなので…いいなぁ、こういうギル。ちょっと分けてください(無茶苦茶)

みや様、ありがとうございました!またブレエリとかエリ←リオの話とかしてくださいねv



Web拍手 twitter

Copy Right © Dreaming Sunday all rights reserved.